登山用リュック対決!バルトロ他vsグレーシャー(ミステリーランチ)

グレーシャー 山の道具

こういう事は勿体ぶらず、初めに結論を申し上げます。

数ある登山用リュック(バックパック)の中で、今一番のおすすめはミステリーランチの「グレーシャー」です。

昨今の流れとして、ガレージブランドが出すUL(ウルトラライト)なリュックもオシャレで魅力的ですが、質実剛健、漢(おとこ)なら黙って「グレーシャー」でキマリ!

皆さんはミステリーランチにどの様な印象をお持ちでしょうか?その耐久性はミルスペックを誇り、アメリカ軍にも配給されるほどの品です。

当然ながら機能性にも優れており、もし私が戦場に出るような事があれば迷わず、ミステリーランチのバックパックを選びます。

もちろん、ミステリーランチのみならず、記事中では他社モデルとの比較もしていますので、これから大型バックパックを買われようとされる方にとっても参考になるはずです。

 

「天使の羽根」は実在した!

【緊急非常事態宣言】も解除され、念願のミステリーランチ「グレーシャー」を背負い、2日間で15kmを歩いてきたので、まずその感想をお伝えします。

初めに申し上げておきますが、買って「大正解」のバックパックでした。

かつての戦友バルトロへの未練も何処へやら、キレイさっぱり吹っ飛びました。

「何がそんなに良いの?」

一言で表すなら、背負い心地が「天使の羽レベル」です。

誤解の無い様にしておきますが、「20kgがまるで10kgに感じる」といった魔法の話しをするつもりはありません。

20kgはやはり20kgです。一歩一歩がズシリと重いです。場所によっては慎重な足運びが要求されます。

なのに、なぜだか「楽ちん」なのです。

それはある程度の距離を歩く事で顕著に表れてきます。

以前の「バルトロ」だと、20kg担いで5kmも歩くと腰が痛くて直ぐにへばっていましたが、「グレーシャー」はその様な痛みも無く脚が前へ前へと進みます。

私の分析では荷重が1点に集中せず、肩から腰にかけて、背中全体に分散されるからだと思います。

加えて背中のカーブを正しい形へと矯正する造りになっています。

後述しますが、システマチックに微調整する機能が「グレーシャー」には備わっており、様々な体型に対し理想に近い形が造り出せるのです。

これら調整システムは私が知る限り他のメーカを遥かに上回っています。

かつての相棒グレゴリー「バルトロ75」の印象・・・

「ミステリーランチ」は「グレゴリー」や「オスプレー」と比べ、山で見かける機会がほとんど無いと思いませんか?

居ても全身ゴリゴリのアーミールックの方だったり・・・もう少し普通の方にも選んで頂けるメーカーだと思うのですが。

「見た目的にもカッコイイのに、なぜ人気がないの?」「重量が他と比べて重いから?」「専門店でしか取扱いしていないから?」「値段が高いから?」・・・

それら情報不足で、一抹の不安を抱えながらも購入に踏み切れたのは、「SS(春夏)19モデル」が、以前のモデルと比べ、思いのほか背負い心地が良くなっていたからです。

デザイン面の変更がほぼ無いだけに、奇妙な感覚を覚えた程です。

その理由をA&F店員に聞いたところ、やはりその中身は大きな変化を遂げていました。(※詳細は後ほど)

それともう1つ購入を決めた理由があります。

大型バックパックの代名詞ともなっているグレゴリー「バルトロ」ですが、右も左も皆「バルトロ」です。

とても良く出来たバックパックである事は間違いありません。かくいう私も2019年に買った現行モデルを所有していましたが、実使用4日で手放しました・・・。

その理由は腰の納まりどころが悪く痛くなる事に加え、何か物足りなさを感じ「バルトロ」では【私の物欲】を満たしてはくれなかったからです。

背負心地がバックパック界の『ロールスロイス』と称される「バルトロ」ですが、私は『ロールスロイス』に乗った事が無いので、その「たとえ」が正しいのか分りません。

私が感じた「バルトロ」の印象は「高級ホテルのベッドで寝たら翌日腰が痛くなった」とか、「タクシーのふわついたサスペンションに揺られ、逆に気分が悪くなった」と同じ感覚です。

「過剰過ぎるサポートが逆に不快を招いてしまっている」と言ったらいいのでしょうか・・。

因みにこれらはあくまで私の勝手な妄想なので、鵜呑みにしないで下さいね。天下の「バルトロ」といえど、私の様に合わない人もいますよ。という「余談」でした。

 

他5メーカとの価格、容量、重量の比較

「グレーシャー」は【エクスペディション】に分類され、同じマウンテンシリーズの中でも使われるファブリックやフレームが、より高荷重に耐えうるように作られています。

その為、容量の割に、他のメーカより「重い」と解釈していましたが、どれぐらい他より重いのでしょうか?

他社と比較しました。

価格の高い順に並べてあります。(※カリマーとミレーは容量が変化するので除きます。)

価格):70Lを超えると、どのメーカも4万円以上する中、マムートとオスプレーの価格差が約2万円も開いたのにはちょっと驚きです。

容量):容量に関しては統一したので横並びです。唯一「グレーシャー」には、胸と腰に【拡張アタッチメント】が取り付けられる機能があります。それにより個人の好みで用途や種類、大きさまで自由に選べるので無駄が無いです。

重量):やはり「グレーシャー」が一番重いものの、その差は缶ビール(350g)1缶程度です。私はビールを飲まないので、これぐらい何とも思いません。意外にもノースフェイスの「グリフィン75」が最も軽いんですね。

感想:価格、容量、重量においてオスプレーが最も優れた結果でした。種類も豊富に用意されており山でよく見かける理由が分かった気がします。他は(価格の高いマムート意外)どれも似たレベルなので、レインカバーやサミットパックが標準装備された「バルトロ」が幅広い方に選ばれる理由となっている気がします。

 

構造(骨組み)について

アストラルフレーム

ここからは「グレーシャー」に特化してその特徴を見ていきます。

初めに紹介動画をご覧ください。

 

動画内でも紹介されていますが補足していきます。

SS19から【アストラルフレーム】へと刷新されました。以前のモデル(縦2本×横1本)から、SS19モデルでは縦4本×横1本に。それにより荷重容量と快適性がアップ。横方向へのひねりにも柔軟に追従する「動的サスペンションフレーム」が採用されています。

バックパックに使われるフレームは固いアルミパイプが使わるのが普通ですが、ミステリーランチのバックパックは異なります。

「動的サスペンションフレーム」の言葉の通り、「曲がる」のです。これにはさすがに驚きました!

曲がるからと言って「やわい」訳ではありません。「曲がる」ことで一部分に無理な力が掛からず全体で受け止め、全体で戻ろうとします。

その為、体への負担が最小限に留められるのです。

 

ガイドライトMTフレーム

ちなみに、テラフレームシリーズ(80L/65L/50L)に使用されているフレームも今期刷新された「ガイドライトMTフレーム」になります。これは従来の「ガイドライトフレーム」の改良版で、ガイドライトフレームとは、ハンティングシリーズをデザインするにあたり開発されたテクノロジーであり、荷重分散と力の伝達を効率よく生み出すハーネス/フレームシステムとして知られてきた。その名品をベースにさらなる改良が施されたフレームで、オーバーロードしている状態でも通常の状態でも、つねに安定した背負い心地を実現するもです。

 

外観について

ファブリック(生地)

 

新オリジナル設計【500D Lite Plus CORDURA® fabric】が採用され、従来素材(500D CORDURA® fabric)よりも耐摩耗性70%UP、引裂き強度30%UPになりました。不慮の事故にも耐えうる強度を誇り、滑落してもバックパックだけは、かすり傷で済むことでしょう・・・。

 

500デニールのコーデュラナイロンは生地重量に対して堅牢で耐久性が高く耐水性にも優れます。1000デニールコーデュラナイロンはさらに優れた耐久性を発揮しますが、約2倍の重量になってしまう事と織目の間隙率の多さによって耐水性が500デニールに比べ劣るので、一部のモデルを除いて500デニールが主に採用されています。生地表面にはテフロン加工、裏面にはPUコーティングを施して紫外線耐性にも配慮しながら優れた耐水性を確保しています。

 

シュラウド(吹き流し)

2段(入り口と首元)のドローコードが備わるシュラウドにより、高い耐候性とパッキング時の圧縮が可能です。

 

ショルダーハーネス

無骨なアーミー調な作りから、柔らかく肉厚な高密ウレタンに変わり肩周りの曲線に沿うようにデザインされています。この辺りは少しバルトロに似ています。メッシュが側面まで回り込んでいるので首や肩への当たりがソフトになりました。

 

ウエストベルト

垂直なフレームに対して、腰にあたるパッド自体が下向きの傾斜になっています。それにより、パックがどんな状態でも、ウエストベルトがつねに腰回りに沿って固定され続けます。

見てお分かりの通り、ミステリーランチのウエストベルトは他のメーカと比べても大型で、ぶ厚いです。そして少し堅いのです。

さらにこの高密度ウレタンが【5つのブロック】に分かれる事で、腰を前後左右から「グッ」と包み込むように固定してくれるのです。

あと、腰にあたるパッドが前に突き出ているのがお分かり頂けるでしょうか?他のメーカではなかなか見ない形状をしています。

比較対象に載せたこれらメーカの腰パットは背面パッドと曲線で繋がっており、腰の上に載せる要素がそもそも足りないように感じます。

これではパンツやシャツのズレと共に腰の位置もズレてしまいがちです。何度もパンツとシャツを整え直したりしていませんか?

初めて「グレーシャー」を背負った時、背筋が真っ直ぐに正される感じがあり、他には無い快適さを覚えました。

この出っ張り具合と形こそが、長時間歩いても常に腰骨の上にパックが乗った状態を維持してくれるのです。

 

「バルトロ」は腰のラインに合わせて着脱可能なEVA製パッドで、さらなる調整が可能です。残念ですが、私には腹を突き出すような感じになり、ただ苦しいだけでした。

 

PALS ウェビィング

SS19モデルから新たに【PALSウェビング】が備わりました。

【PALSウェビング】とは、ウエストベルトに任意で様々なアタッチメントを装着することの出来るベルトループの様なものです。

このカスタマイズ感がたまらなくカッコいいのです。私は財布やスマートフォン、メガネなど収納するつもりで【FORAGER POCKET L】を買いました。

【FORAGER BOX】

【FORAGER POCKET L】

ミステリーランチの製品全てに共通する事ですが、ジッパーの左右には必ず【ベロ】が付いているので開閉がすごく楽です。

 

ちなみに「バルトロ」の【ウェザーシールドポケット】には「iPhone 8」が入りません。ケース無しの「SE」なら入るかもしれませんが、電子機器を入れる用途で作られているにも関わらず予備のバッテリーぐらいしか使い道が無く、いつも空にしてました。素材が硬質な上、立体的な形をしているので開閉もしづらいです。

 

サイド コンプレッション ストラップ

↑左上が旧モデルになります。バックルの位置が最適化されました。以前だとバックルを外してもベルトが邪魔でしたが、それが解消され内部へのアクセスがスムーズになりました。

↑片側のみに本体内部に直接アクセス可能サイドジッパー付いています。この様に「ガバッ!」と開きますので、奥底に入れた荷物も容易に取り出し可能です。

↑先日の山旅ではトップシュラウドを一度も開けず、サイドジップの出し入れで完了したほど使いやすかったです。

↑背面にはハイドレーション(2.5L〜3.0L)を入れるポケットと、それを固定する紐が付いています。

 

大型で丈夫なつや消しジッパー

バックパックを地面に置いた際、小さいジッパーだと砂利を噛んだら壊れる可能性がありますが、ミステリーランチのジッパーは大きくて丈夫です。しかも開閉が非常にスムーズです。

主要な部分には「YKK#10」を、ポケットなどには「#8」のジッパーが採用されています。ちなみに「YKK#10」の【持ち手部】のサイズは4cmもあります。しかも、つや消しブラックがいちいちカッコいいです!

そしてジッパーは全てフリップで覆い隠されており、雨や雪、砂利など直接触れることはありません。他社モデルで「むき出しの止水ジッパー」を見かけますが、デザイン性には優れるものの、本格的なアウトドアには向かないと思います。

 

レインカバー

 

 

 

「グレーシャー」にはレインカバーが付属していません。

「グレーシャー」は71Lなので、M(45L〜70L)とL(70L〜105L)の境界になります。ヘルメットやマットなど、外付け品が無ければ【M】で、有れば【L】を選択されると良いと思います。

2種類あるタイプに関しては【フード付き】をおススメします。その理由は見てお分かりの通り、背中側からの雨や雪の侵入を防いでくれるからです。

皆さんも経験あると思いますが、雷雨でパックの中身を濡らした事ありませんか?レインカバーを付けていても、背中側は空いているので隙間から雨は侵入します。

でも、これが本当に使えるのか未知数なので、購入したらレビューしたいと思っていますが、割と高価なので迷っています。

※迷った挙げ句、フード付きのレインカバーを買いました。(後日レビューします!)

「ピコシェルター」の様にポンチョにもビバークにも使える方が便利だったりして。。とも考えています。

ミステリーランチ パックフライ MYSTERY RANCH PACKFLY バックパックカバー レインカバー
ミステリーランチ HOODED PACK FLY L/フーデッドパックフライ L

 

クラシックなフルレングスのトルピードポケット

「グレーシャー」のデザインを特徴付けている縦長2本の収納ポケット(縦:50cm×横:13cm×高:13cm)は、他ではあまり見ない形をしています。

自ずと入るモノが制限され、その結果「決めたモノが、決めた所にある」シンプルさに魅力を感じています。

私なら、防寒具、エマージェンシー、雨具、テント、アンダーシートなどを中心に収納を考えます。

その理由は、急に必要になる物、テント場で最初に取りだす物(=最後に仕舞う物)をこのポケットに入れておくと便利だからです。

それに加え、「濡れもの」は【本体内部】に入れたくないからです。これらを上手く区別することで、使い勝手のいい「自分オリジナル仕様」になると思います。

ちなみにサイズイメージは、SOTO250のOD缶(Φ11cm×高9cm)が縦に5缶ゆったり収納出来ます。

 

センターのデイジーチェーンとツールループ

ここにはトレッキングポールやアイスピッケル、シェラカップやぬいぐるみなどの小物まで、アイディア次第で様々なギヤが取り付けられます。

ココにも「キラリ」と光るセンスを見つけました。些細なことですが結束ゴムバンドがいい仕事してくれるのです。

実際、ピッケルを取り付けてみました。ごく普通の事かもしれませんが、取り付ける際の煩わしさが全くありません。見ての通り、ゴム環をフックに取り付け、余分なたるみを絞り込めばOKです。

 

サイドポケット

ナルゲン1Lボトルが収納可能です。入り口のゴムバンドが幅広でしっかりしているので抜けることなく、しっかり保持してくれます。なおナルゲン400mlだとスポスポでした・・・。

 

機能性について

フューチュラヨーク・システム(背面長無段階調整システム)

人の胴体の長さは千差万別です。同じ身長の人でもそのサイズは異なります。背負心地に影響するとても重要な部分なので、各メーカ工夫を凝らした「調整システム」を開発しています。

 

残念な事に「バルトロ」には背面調整機能がありません。その代わり、背面の長さを3サイズ、ショルダーハーネスを3サイズ、ウエストベルトは5サイズを用意。ショルダーハーネスの根本には上下2カ所のスリットが設けられており、調整は何れかのスリットに差し込んだら終わりです。どれも予め用意された規定のサイズに人間が合わせる形となるので、これでは個人の体型にぴったり合わせた微調整は出来ません。しかもこのカスタマイズですが非常にめんどくさいです。今後「バルトロ」を買おうとしている方の為にメーカの注意事項を記載しておきます。

GREGORY ONLINE STOREではカスタムフィット対応バックパックのカスタムフィット(ショルダーハーネス、ウェストベルトのサイズ交換)での販売、また購入後のショルダー、ウェストのサイズ交換の対応を致しておりません。正確なフィッティングを希望される場合は、取扱店を探すより「テクニカルフィッティングディーラ-」対象店舗にてスタッフにご相談の上、店頭にてお買い求めください。

GREGORY

 

それではミステリーランチの「フューチュラヨーク・システム」を見てみましょう。

 

ユーザー1人ひとりの背面長や体格に応じて、ジャストフィットができるよう、パックの背面長を無段階調整することを可能にしたフューチュラヨークシステム。パック本体とヨーク(ショルダーハーネス1体パーツ)がベルクロで結束されています。また、このヨークの中にはフレームシートアジャスターが内蔵されています。このフレームシートアジャスターは垂直方向の非常に優れた強度とねじれ方向の適度な柔軟性を併せ持ちます。さらに背中のカーブに合わせて模られているので、背面長を適切に調整すると背中のカーブとピタッと重なり抜群のフィットが得られます。パックに内蔵されるフレームは荷物の荷重を受け止め伝達・分散させる役割に特化し、ヨークに内蔵されたフレームシートアジャスターが背中への優れたフィットをもたらします。この目的に最適化させた独自の複雑で堅牢なフレーミングが優れた荷物運搬性能を発揮するのです。

MYSTERY RANCH

動画と引用説明があれば、私のつたない説明など不要ですが、フレームとショルダーハーネスが完全に独立した構造になっており、ベルクロで結束されているため、無段階での上下スライドが可能です。

 

このフレームシート(黒いプラスチックのへら)は、背面長を調整するときには、ベルクロの結束を剥がすツールとして使い、普段はヨークのスリーブにしまい込んであります。背中のカーブに合わせ湾曲してあり、肩の上辺りに気持ちよくフィットしてくれます。

このシステムにより、背中にぴったりと隙間なくバックパックが吸い着いたかのようにフィットしてくれます。背中全体で荷重を分散する事が可能となり、安定感が増したように感じられます。

SS19モデルからヨーク背面に目盛が付いたので、ベストポジションを記憶しておく事が可能となりました。デイパック(アタック/サミットパック)として利用した後でも、記憶した目盛に合わせれば素早く元通りに出来ます。

 

デイパック リッド フィーチャー

 

本体からトップリッド(雨蓋)を外し、本体のヨークと装着すれば、サミットパックの完成です。テント装備を置いて移動する時など、利用価値は高いです。

コアファイターみたい。

この様な時、大抵は登頂や高所キレットなど身軽にしないと危険な場所に行くことが多いです。

その様な場所でバックパックが背中で「ぶらぶら」したら、とても危険ですよね。本品の特徴は、本体からヨークを取り外し、取り外したヨークをリッドに取り付けるので、フィット感が変わることがありません。しかもフレームシート(※黒いプラへら)がデイパックの形状を保ってくれるので快適なままです。

 

「バルトロ」に付属してあるサミットパックを私も使いましたが、右に左に重心が意図しない方にズレるので非常に危険でした。ショルダーハーネスも薄く、チェストストラップも付いていないので肩から容易にずれ落ちます。形状が縦に長く、重心も低いので水筒など入れるとブラブラと安定しません。下山後の温泉パックとしては重宝しました。。。

 

続いて「グレーシャー」のトップリッドの【内装】についても見ていきましょう。

前後2室ある片側にだけ、メッシュで仕切られた部分があります。鍵や小物など散乱すると探すのが面倒な品など入れておくと便利だと思います。

肝心の容量ですが2Lのペットボトルが余裕で入ります。それが2室ありますので大抵の物なら十分収まるはずです。仮に2L×2本=4L(=4kg)を担いでも全くブレる事はありません。

 

ロードリフターは45度を死守せよ!

オフィシャルの動画内でも説明されてますが、肩から伸びるロードリフターのストラップを引く事でパック本体を体に寄せる事が出来ます。

↑その際、角度を45度に調整する事が大切です。角度が広いと肩への負担が増し、狭いと腰への負担が増します。

↑グレーシャーには2カ所のバックルが用意されており、背の高い人は上のバックルへ、低い人は下のバックルへ、より45度に近くなる方に留めると良いでしょう。

【超重要!】肩ベルトには「可動式のバックル(点線の赤丸)」が付いているので、更に微調整が可能です。肩ベルトを牽引する頂点を変えることで、肩との接点が変わるので背負心地に大きく影響してきます。※バルトロにはありません。

 

トップローディング式スピードジップコンパートメント

ミステリーランチの代表格的なこの機能は、寝袋など容積の大きい軽量物を素早く押し込むのに適したシステムです。日本では寝袋をスタッフサックに入れ、ある程度小さくした状態からなので、さほど仕舞うのに困らないでしょうが、それでも寝袋以外に、インナーシュラフ、ダウンウェア上下、ダウンソックス(テントシューズ)など、これらをストレス無く最下部にまとめて押し込む事が、このシステムでは可能です。

そして意外と知らない人も多い、【秘密のシステム】を私のサイトをお読み頂いた方だけに「こっそり」ご紹介します。

このシステムの名称は・・・「THE ●● システム」※私も知りません。どなたか教えて下さい!

では使い方をご説明します。

旅の最終日ともなると食糧など減って荷室に空間が生れます。そのままではパック内に空間が生じ、見た目的にもパッキング的にも良くありません。その場合、最下部を意図的に凹まし、寝袋を上の空いた空間に移動させれば、隙間の無いパッキングが可能となります。

もしくは、初めから71Lも必要としない山旅の場合、荷室を意図的に潰してしまうことでパッキングが美しく仕上がります。

この様に旅の始まりから終わりまで、荷物容量に応じて変化できるバックパックは他にありません。

 

ストラップの末端処理

「ぷらぷら」と垂れ下がったストラップを邪魔に思った事はありませんか?「グレーシャー」には【取外し可能なベルクロ】がストラップの末端に付けてあり、「くるくる」と回して【団子】にすることが出来ます。

 

カラーは計4色展開

SS19から新たに【ADOBE】が加わりました。【ミステリーランチ】のアイコンカラーにもなっているオレンジ色は、素材と相まって落ち着いた雰囲気がとてもカッコいいです。

【STORM】は女性専用色ですが、これもフツーにカッコいいです。もし山で見かけたら思わず声をかけてしまいそうです。

A&F店員の話によると【WOOD】が一番人気で、最初に完売するそうです。

 

まとめ

長々とお付き合い頂きありがとうございました。

この「グレーシャー」には【隙(すき)】がありませんね。普通、1つや2つ「もう少し、こーしてくれたらいいのに〜、あーしてくれたらいいのに〜」というのが有るものなのですが、それが見つかりません。

長年、バックパックを作り続けて来た【ミステリーランチ】のノウハウの全てが詰め込まれた傑作に思えます。

より多くの人にこの魅力を知ってもらい、山でもっと【ミステリーランチ】を見かける機会が増えたらいいなと思っています。

それでは、北アルプスでお会いしましょう!

 

あとがき

バックパックも時代と共に移り変わるものと思っています。

最近ではガレージブランから出ている、一見すると奇を衒ったとも思えるウルトラライトなモデルが人気の様ですが、私は「辛口一魂」「質実剛健」的なモデルの方が好みです。

おじさん古いタイプね。
お酒飲めないくせに。ふふ

何個も買い揃えるのでは無く、一つの物を長く大事に使っていきたいタイプです。それには機能性・快適性(背負心地)・耐久性に優れてないと使い物になりません。

それら全てを満たしてくれたのが、今回ご紹介した「グレーシャー」です。

男女問わず、私と同じタイプの方には間違いなく刺さると思います。

一度店頭で担いでみてください。

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